アレルギー科
スギ花粉症・ダニによる通年性アレルギー性鼻炎の治療を行っています。体質そのものに働きかける舌下免疫療法、重症の花粉症に対するゾレア®にも対応しています。
ぜんそくやアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は、遺伝的な要因と環境的な要因の両方が発症に関わることが知られています。当院では抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬、漢方薬などを用いて治療を行っています。
花粉症が疑われる症状がある場合は、原因となる花粉を特定する採血検査(特異的IgE抗体検査)を行えます。

小児のアレルギー診療(アレルギー性鼻炎など)は行っておりません。小児ぜんそくについては土日診療・小児ぜんそく外来をご覧ください。
漢方薬の処方は土曜日のみです。
When to start
花粉症の治療はいつ始めるのがよいですか?
花粉が飛び始める2週間前からの服薬開始が推奨されます。ロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレア®など)を飛散開始の2週間前から使い始めると、鼻の症状が軽くなることが示されています。症状が出てからでは効果を実感しにくいため、早めにご相談ください。
原因となる花粉の飛散時期は植物によって異なります。関東ではスギが2月上旬から4月にかけて、ヒノキが3〜5月、イネ科(カモガヤ・ホソムギなど)が初夏、キク科(ブタクサ・ヨモギ)が夏の終わりから秋にかけて飛散します。ご自身が反応する花粉を知っておくと、対策の時期を決めやすくなります。
花粉カレンダー
原因になる花粉の飛散時期を知り、早めに対策を始めることが大切です。花粉症の原因となる植物の飛散時期は種類によって異なります。ご自身が反応する花粉の時期を知っておくと、治療を始めるタイミングを決めやすくなります。
色のついた部分が花粉の飛散時期です。上の数字は月を表し、各月を上旬・中旬・下旬に分けて示しています。
| 花粉 | 地域 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 飛散時期 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スギ | 北海道 | 3〜5月 | ||||||||||||
| 関東 | 1〜5月 | |||||||||||||
| 関西 | 1〜5月 | |||||||||||||
| 九州 | 1〜5月 | |||||||||||||
| ハンノキ属 | 北海道 | 3〜4月・6月 | ||||||||||||
| 関東 | 1〜6月 | |||||||||||||
| 関西 | 1〜6月 | |||||||||||||
| 九州 | 1〜6月 | |||||||||||||
| ヒノキ属 | 北海道 | 4〜5月 | ||||||||||||
| 関東 | 1〜6月 | |||||||||||||
| 関西 | 2〜5月 | |||||||||||||
| 九州 | 3〜6月 | |||||||||||||
| イネ科 | 北海道 | 5〜10月 | ||||||||||||
| 関東 | 2〜12月 | |||||||||||||
| 関西 | 1〜12月 | |||||||||||||
| 九州 | 1〜12月 | |||||||||||||
| シラカバ | 北海道 | 3〜6月 | ||||||||||||
| 関東 | 4〜6月 | |||||||||||||
| 関西 | 飛散なし | |||||||||||||
| 九州 | 飛散なし | |||||||||||||
| ブタクサ属 | 北海道 | 9月 | ||||||||||||
| 関東 | 7〜12月 | |||||||||||||
| 関西 | 8〜10月 | |||||||||||||
| 九州 | 9〜10月 | |||||||||||||
| ヨモギ属 | 北海道 | 8〜9月 | ||||||||||||
| 関東 | 8〜11月 | |||||||||||||
| 関西 | 7〜11月 | |||||||||||||
| 九州 | 7〜11月 | |||||||||||||
| カナムグラ | 北海道 | 9月 | ||||||||||||
| 関東 | 8〜11月 | |||||||||||||
| 関西 | 9〜11月 | |||||||||||||
| 九州 | 8〜11月 |
飛散時期は一般的な目安です。その年の気象条件により前後します。当院では原因となる花粉を特定する採血検査(特異的IgE抗体検査)を行っていますので、ご相談ください。
Sublingual Immunotherapy
スギ花粉症の舌下免疫療法(シダキュア®)
アレルギー性鼻炎の治療は、これまで「抗原を避ける」「抗ヒスタミン薬などの薬物療法」「鼻粘膜の手術」が中心でした。薬物療法は症状を抑える対症療法であり、手術も再発の可能性があります。
舌下免疫療法は、スギ花粉のエキスを舌の下に投与して体質を徐々に変えていく治療法です。従来の皮下注射による免疫療法と比べて、自宅で投与できる、注射の痛みや腫れがない、重い副作用が起こりにくいという利点があります。1990年代から欧米で行われ、WHO(世界保健機関)も有効性を認めています。日本の第Ⅲ相試験でも、プラセボと比較して症状スコアとQOLの改善、追加薬剤の使用回数の減少が示されました。
治療を受ける前に知っておいていただきたいこと
- スギ花粉症以外のアレルギー性鼻炎には効果が期待できません。
- 効果が現れるまで数週間かかり、十分な効果を得るには2年以上の治療期間が必要です。
- 治療を終えたあと、効果が弱まる可能性があります。
- すべての方が根治できるわけではありません。
- β阻害薬を使用中の方、不安定な気管支ぜんそくの方(%FEV1が70%未満)、抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイドを長期投与中の方、妊娠中・授乳中の方は適応外です。
- 初回時に当院での採血(血清中抗原特異的IgE)が必ず必要です。
- 65歳以上の方は、効果と有害事象に関するデータが乏しく重篤になる可能性があるため、お断りしています。
副作用について 腹部症状(嘔吐・腹痛・下痢)、口の中や目・鼻のかゆみ、じんましん、ぜんそく発作(重いぜんそくをお持ちの方)が起こることがあります。まれにアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、初回投与後30分は院内で経過を観察します。
治療開始までの流れ
- 初回来院日:採血と治療の説明。採血だけを先に行う場合は、どの曜日・時間帯でも可能です。
- 2回目来院日:治療の説明(採血のみ先に行った方)。説明日は日曜以外の診療日です。同日に治療の導入も可能です。
- 初回治療導入日:日曜以外の診療日に行います。
開始時期にご注意ください。花粉が飛散する前の11月末までに治療を開始したいため、お早めにお申し出ください。前年12月〜翌年4月の治療開始は避けています。
保険診療のため、他院のデータをお持ちの場合も、当院で投与を開始する際は初回の採血(血清総IgE・特異的IgE抗体)を必ず実施します。
常用薬がある方は、初回受診時に必ずお薬手帳をお持ちください。
Mite Immunotherapy
ダニアレルギーの舌下免疫療法(ミティキュア®・アシテア®)
日本人の約4人に1人が通年性アレルギー性鼻炎であることが知られています。その多くを占める室内塵ダニによるアレルギー性鼻炎は、布団・じゅうたん・畳などに生息するダニのフンや死がいが原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみを引き起こします。
スギ花粉症のシダキュア®と同様に、ダニについても舌下免疫療法が行われています。「ヤケヒョウヒダニ」と「コナヒョウヒダニ」の抽出液を精製したミティキュア®とアシテア®は、臨床試験で通年性アレルギー性鼻炎の鼻症状を有意に改善させました。アシテア®については、治療中止後およそ1年間効果が持続したことが報告されています(J Allergy Clin Immunol. 2014;133:1715-25)。
なお、ミティキュア®は海外の臨床試験で、吸入ステロイドでコントロールが不良なダニアレルギー陽性の気管支ぜんそく患者に対し、吸入ステロイド減量期間中の症状増悪リスクを低下させたと報告されています(JAMA. 2016;315:1715-25)。ただし国内では有用性が明確に示されておらず、現時点で気管支ぜんそくに対する適応はありません。
治療を受ける前に知っておいていただきたいこと
- ダニ以外が原因のアレルギー性鼻炎には効果が期待できません。
- 十分な効果を得るには3〜5年の治療期間が必要です。
- 治療を終えたあと、効果が弱まる可能性があります。
- β阻害薬を使用中の方、不安定な気管支ぜんそくの方(%FEV1が70%未満)、抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイドを長期投与中の方、妊娠中・授乳中の方は適応外です。
- 他の舌下免疫療法(シダキュア®など)との併用はリスクが明らかでないため避けていただきます。
- 初回時に当院での採血(血清中抗原特異的IgE)が必ず必要です。
- 65歳以上の方はお断りしています(効果と有害事象に関するデータが乏しいため)。
副作用はスギ花粉症の舌下免疫療法と同様です。まれにアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、初回投与後30分は院内で経過を観察します。
ダニの舌下免疫療法は花粉の飛散時期と関係がないため、いつでも治療を開始できます。
Omalizumab
重症のスギ花粉症に対するゾレア®(オマリズマブ)
重症の気管支ぜんそくや慢性じんましんの治療薬として使われてきたゾレア®は、2019年12月に季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)への適応が追加されました。IgEが肥満細胞に結合するのを妨げることで、症状の原因となるヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えます。
治療の条件
- 2週間または4週間ごとに投与する皮下注射薬です。
- 12歳以上で、体重が20〜150kgの方に限られます。
- 1週間以上の抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬による治療で効果が十分でない方が対象です。
- スギ花粉抗原に対する特異的IgE抗体価がクラス3以上かつ総IgE値が30〜1500 IU/mLであることが必須です。
- 体重と総IgE値によって投与量(75〜600mg)と投与間隔が決まるため、ご負担額には個人差があります。
- 治療期間は臨床試験の結果にもとづき12週間程度が推奨されます。
- 抗ヒスタミン薬などの標準治療も引き続き併用します。
投与は毎年、スギ花粉の飛散前から飛散時期にあたる1〜5月に行います。効果を十分に感じていただくため、遅くとも3月には治療を開始することをおすすめしています。
治療開始までの流れ
- 初回来院日:採血と標準治療薬の処方(±治療説明)。採血と処方だけであれば日曜も可能です。同日に治療説明もご希望の場合は日曜以外にご来院ください。
- 初回導入日:日曜以外の診療日に行います。
副作用として注射部位の反応、頭痛、まれにアナフィラキシーが起こることがあります。効果には個人差があります。費用の目安は投与量により異なりますので、診察時にご説明します。
FAQ
よくあるご質問
舌下免疫療法はいつから始められますか?
スギ花粉症の舌下免疫療法は、例年5月中旬から11月末までに開始します。花粉が飛散する12月〜翌4月は新たに開始できません。ダニの舌下免疫療法は時期を問わず開始できます。
アレルギー検査だけを受けられますか?
特異的IgE抗体検査(採血)のみのご希望も承ります。採血だけであれば日曜を含めどの診療日でも可能です。
舌下免疫療法は保険が使えますか?
シダキュア®・ミティキュア®・アシテア®、いずれも保険診療です。ただし当院で投与を開始する際は、他院のデータをお持ちの場合でも初回の採血が必要となります。
子どもの花粉症は診てもらえますか?
小児のアレルギー診療は行っておりません。小児ぜんそくについては専門外来で対応しています。